購買情報をオフサイト広告の成果にシフト

Nick Titmus

VP Retail Media & Commercial Partnerships

リテールメディアは、eコマースサイト外でも、成長しているのでしょうか?

スポンサードリスティング広告やオンサイトのディスプレイ広告から始まったリテールメディアの取り組みは、現在ではより広範なコマースメディア エコシステムへと急速に拡大しています。プログラマティック、CTV(コネクテッドTV)、キュレーションされたマーケットプレイス、そしてオフサイトの広告枠まで、その領域は広がり続けています。

そしてこうした動きは、とても自然な流れであると言えます。なぜなら、リテールメディアの基盤はファーストパーティの購買情報であり、それらはオンサイトというひとつの環境に限定することなく、広く活用されるべきであるからです。

しかし、リテールメディアをオフサイトへ拡張することは、単にターゲティングの問題ではなく、クリエイティブと配信の問題でもあります。なぜなら、リテーラーの所有する環境、すなわちオンサイトを離れた瞬間に、適用されるルールが変わるからです。


オフサイトに秘められたチャンス

リテーラーは、エコシステムの中でも最も価値の高いファーストパーティデータを保有しています。購買シグナル、カテゴリ別の行動データ、購入頻度、ロイヤリティ情報などです。

こうした情報はDSPやキュレーションされたマーケットプレイスを通じてオフサイトで活用することで、さらに強力なものになり、リテーラーの枠を超えたリーチの拡張、購入意向の高いユーザーへの再アプローチ、更なる成長の創出、そしてブランドのストーリー・世界観と購買シグナルの接続が可能になります。

オフサイトの活用によって、リテールメディアは「受動的」なものから「能動的」なものへと進化します。つまりマーケット内の需要に応えるだけでなく、その需要そのものを形成する役割を担うようになるのです。

しかしここで、二つの環境にはそれぞれ異なる前提が存在するということを理解しておく必要があります。オンサイト環境はそもそも商品の販売を目的とした場所であり、ユーザーはすでに購買モードに入っています。一方、オフサイト環境は全く異なり、サイトを閲覧したり、エンターテインメントを楽しんだり、コンテンツを消費する場です。つまり、購買データを元に購入意向シグナルは活用できるものの、オフサイト環境ではさらに「説得力」、そしてその説得力を導き出す「体験」が求められる、ということです。

オフサイトのリテールメディアが更なる成長を実現するためには、アテンションを獲得するためのクリエイティブ、没入感のあるフォーマット、そしてオンライン体験を損なわない高速でシームレスな配信機能が必要です。そしてクリエイティブとテクノロジーは、どちらか一方だけではなく、共に機能することが必須です。


単純な広告からブランド体験へ

このようなギャップを埋めるために構築されたのがSeenThisです。

SeenThisは、コマース起点のクリエイティブフォーマット、アダプティブストリーミング技術、そしてキュレーションされたマーケットプレイスやAmazon DSP経由の配信を組み合わせることで、リテーラーやブランドが購買情報を高品質なストリーミング動画体験としてオープンウェブ全体に拡張することを可能にします。

これまでの手法とSeenThis、その違いは配信手法にあります。従来の広告フォーマットはファイルダウンロードに依存しており、データの重さによっては遅くなり、ページの表示速度がパフォーマンスに直結する環境では制約が大きくなります。SeenThisはアダプティブストリーミング技術を活用し、プレミアム動画プラットフォームと同様の仕組みで、高解像度動画を遅延なく標準的なディスプレイ広告枠に即時に配信します。

SeenThis による配信の成果は以下の通り明確です。

  • ROAS +20%向上

  • アテンティブセカンズ +240%向上

  • カート追加率 43%

これによりブランドは、ブランドストーリーによる認知獲得とパフォーマンス成果のどちらかだけを選ぶ必要がなくなります。ストリーミング動画は、その両方を実現することができるからです。プロダクトローンチ、ミドルファネル層への説得力のあるアプローチ、文脈に応じてブランドのストーリーを伝えること、そしてアクション(コンバージョン)を最適化するためのフォーマットまで、対応することができます。


リテールメディアの次なるフェーズ

リテールメディアの次なるフェーズとは、オンサイトの枠を超えて、ブランドが認知を構築し、検討層を醸成し、更なるパフォーマンスを生み出すために、購買情報をあらゆる環境へ拡張することであると言えるでしょう。そして重要なことは、スピード、サステナビリティ、そしてユーザー体験を損なわないことです。

次のフェーズ実現に向けて取り組むべき問題は「リテールメディアはリテーラーの枠を超えるべきか」ではありません。むしろ「その拡張を支えるクリエイティブとテクノロジーは、更なる拡張と複雑性に対応できているか」ということです。

購買データはオーディエンスを特定することはできますが、その情報を実際のインパクトへと転換させるのは実際の「体験」に他なりません。



*この記事は、2026年5月にSeenThis から発表されたものを意訳したものです。